強迫性障害

強迫性障害とは?

どんな病気?

やめたい、意味がわからない(=自我違和感※)とわかっていながら、ある考えがいつまでも頭から離れない、ある行動を繰り返さないと気が済まない、といったことがありますか?

※自我違和感:自分自身の目的や心理的欲求と異なる、あるいは矛盾していると感じること

 

強迫性障害の症状には...

「強迫概念」と「強迫行為」があります。両方の症状が共存することが多いですが、強迫観念だけの場合もあります。

 

強迫概念とは...

ある特定の考えやイメージが強迫的に、何度も繰り返して頭に浮かんでくることを指します。

 

強迫行動とは...

強迫観念を打ち消すための行為で、自分の意志に反してやっている場合が多く、強迫儀式とも呼ばれます。

 

例えばー

  • トイレに行った後も汚いものに触れた後、必要以上に何回も手を洗ったり衣服を洗濯したりする。
  • 外出時にドアの鍵を閉め忘れていないか、ガスの元栓をしっかり締めたか、何度も戻って確認してしまう。
  • 棚に並べてある本の数を何度も数えてしまう。
  • 4や9などの、特定の数字に関連して不吉な考えが浮かび、不安に襲われる。
  • 尖った物で自分や他人を傷つけてしまいそうで、ナイフやハサミ、コップなどの割れやすい物に近づけない。

 

これらは誰にでも起きることがありますが、そのために日常生活や社会生活に支障がでてくるようなら、それは強迫性障害(OCD;Odsessive Compulisibe Disorder)というこころの病気かもしれません。

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強迫性障害かどうか、どのように診断するのでしょうか?

強迫性障害の診断には、次の5つの質問が用いられることがあります。

  1. 手が痛くなるくらい、何度も手洗いを繰り返してますか?
  2. カギをかけたか、ガスの栓を締めたか、何度も同じことを確認しますか?
  3. ばかげていると分かっていても、頭の中に繰り返し起こってきて振り払うことのできない考えがありますか?
  4. 1つ1つのことをやり終えるのに長い時間がかかりますか?
  5. 順序正しいことや左右対称であることにとらわれていますか?


強迫性障害の発祥原因は...

まだよくわかっていませんが、脳の中の神経間で情報伝達がうまくいかなくなることが原因のひとつになっているようです。脳には私たちが生活をスムーズに行うための多くの情報が組み込まれていますが、その伝達が正しく行われなくなって、例えば「手が汚れているかもしれない」という不安な気持ちの情報伝達が過敏になり、強迫性障害の症状が現れるのではないかと考えられています。このような不安な気持ちの情報伝達には「セロトニン」という物質が関係していると考えられます。

 

 

どのような治療法がありますか?

強迫性障害の治療の基本として、薬物療法と行動療法があります。治療法の選択にあたっては、年齢や身体合併症の有無、症状の重さなど、さまざまな原因に応じられてきめられます。また、強迫性障害はいったんなおった後も、再発の可能性のある病気です。そのため、回復してからも長期にわたって治療を続け、再発を予防する必要があります。

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薬物療法には...

これによって強迫概念、強迫行為の両方を改善します。脳内のセロトニンの働きを高めるくすりが使われます。これには、選択的セロトニン再取り込み阻害剤(SSRI)があり、日本では、強迫性障害の治療薬
として承認されています。

 

効果

SSRIは抗うつ薬としても使われているくすりで、脳内のセロトニンの働きが高まります。

 

 

行動療法には...

さまざまな方法がありますが、その中でも「暴露反応妨害法」が強迫性障害に効果があると言われています。

暴露反応妨害法とは、患者さんを意図的に強い不安や恐怖を暴露して(暴露/直面)、それを解消するための強迫行為や儀式行為を行わさせない(反応妨害/反応防止)状態にすることで、強迫概念と強迫行為を繰り返さないようにしていくことを意図した治療法です。強迫行為なしで、不安感、不快感、恐怖感を長時間放置することによってこれらの感情になれていき、徐々に苦しみが減少していきます。

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ご家族でできることとは...

早期発見

強迫性障害は、早期発見がとても大切です。患者さん自身が苦しんでいたり、ご家族のみなさんから見ても日常生活に支障をきたしている様子があれば、なるべく早く病院・医院に連れていってあげてください。

 

患者さんの環境

患者さんを取り巻く環境を整えてあげることも重要です。家庭では安定した気分で、ゆったりとした雰囲気を保てるようにしてあげてください。

 

「強迫症状」の理解

自力では症状を止められないということを理解してあげることが重要です。そうすることで、患者さんは安心して家族に相談することができるようになります。

 

「強迫症状」への対応

患者さんから強迫行為を手伝よう求められる場合は、先生にも相談のうえ慎重に対応しましょう。強迫症状を止めるように注意することは逆効果になることもあります。あくまで、患者さんの症状を家族が心配していることを伝え、休養を十分とるように勧めたり、病院・医院を受診するように勧めてください。

 

薬物治療に対する知識

強迫性障害のおくすりは、脳の機能を調整するためのものです。また、強迫性障害のおくすりは即効性のあるものではありません。
効果が十分に現れるのには数週間かかりますので、すぐおくすりをやめてしまったり、病院・医院を変えたりしてしまったりすることのないようにしてください。

 

 

強迫障害は、きちんと治療を受ければ治る病気です。

最近、この病気に対する新しいお薬、治療法が開発されていて、日常生活への障害をかなり軽減できるようになっています。
もし、自分や周囲の人が強迫性障害かもしれないと感じたら、まず、メンタルクリニック・病院の精神科や心療内科で相談してみましょう。

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